再生エネ

地球温暖化対策に欠かせないエネルギーとして注目を集めている再生可能エネルギー

太陽光発電で要求される蓄電池

東日本大震災後、災害や停電に対する備えや節電対策として、家庭や工場などが自ら自家発電設備を持とうとする動きが広がっており、地球環境への配慮や将来予想されるであろう電力料金の値上げ、それに政府や地方自治体による再生可能エネルギーの導入を後押しする政策もあり、各家庭や事業所で太陽光発電パネルと同時に、電力を一時的に蓄える蓄電池の導入が進みつつあります。

スマートグリッド
スマートグリッド

これは太陽光発電が働いているときに、発電された電力を蓄電池に蓄えておき、電力需要の大きいときに放電し、それを消費することで電力の安定を図ろうという発想で、それ以外にも安価な夜間電力を蓄えることにより電力のコストを節約するという目的もあります。

一般家庭を例にとると、1世帯あたりの平均電力消費量は約13kWh/日となり、これを太陽光発電でまかなうためには各家庭で容量が6kWhの蓄電池を備える必要があると試算されています。

そして現在、家電メーカーの多くは、家庭や事業者向けに蓄電池の生産と販売を始めようとしています。

しかし、今後の技術の進歩と普及により蓄電池のコストは下がっていくのでしょうが、現状では10万円/kWh以上といまだ高価であり、導入の費用は決して小さい負担ではありません。

ですので、家庭や事業所で単独に太陽電池と蓄電池を導入し電力を自給自足しようという試みは、節電には有効であっても、社会で負担する経済性を考えるとまだまだ割高となります。

しかし、これが1世帯だけではなく多くの世帯をまとめた場合、集積の効果が働き、出力変動が平滑化されます。 つまり、地域や都市など、さらには社会全体で電力系統を形成し、そこに蓄電池を結びつけるほうが、経済的には有利になり、これがスマートグリッドの出発点となる発想となります。

国のエネルギー政策

2002年に施行された「エネルギー政策基本法」では、エネルギー政策の基本方針として、安定供給の確保、環境への適合、市場原理の活用の3つが定められており、3つの基本方針のもとに「国」「地方公共団体」「事業者」「国民」等の役割分担を明確にしています。

日本が学ぶべきもの
日本が学ぶべきもの

安定供給の確保では、エネルギーの供給源の多様化、エネルギー自給率の向上、エネルギーの分野における安全保障を図るための施策を講じるとしており、環境への適合では、地球温暖化の防止、地域環境の保全が図られたエネルギーの需給の実現、循環型社会の形成のための施策を推進するとしています。

市場原理の活用においては、事業者の自主性や創造性が発揮され、エネルギー需要者の利益が確保されるよう、規制緩和などの施策を推進するとされ、政府には、エネルギー政策基本法の定めにより「エネルギー基本計画」を策定することが義務付けられています。

エネルギー基本計画は、エネルギーの需給に関して、長期的で総合的かつ計画的な施策の推進を図るために、その基本的な方 向性を示すもので、2003年に策定された後、3~4年ごとに見直しが行われ、2014年4月に第四次計画が策定されていますが、再生可能エネルギーの導入を促進するという施策の方向性は一貫しています。

再生可能エネルギー産業について

社会インフラというのは、エネルギー、交通、水道設備、通信や医療・福祉制度など社会生活や経済活動の基盤となるもので、この社会インフラを提供している産業はとても巨大な市場となっています。

夕日の風力発電
夕日の風力発電

エネルギー産業は、電力、ガス、石油、LPG、熱といった分野にわけることができ、再生可能エネルギーは電力や熱の供給において重要な役割を担うことが期待されており、現在では様々な業種の企業が新規参入しています。

主に、太陽光、風力、バイオマス、地熱、中小水力による発電がビジネスの中心となっており、多様なプレイヤーから構成されています。

熱利用においては、太陽光、バイオマス、地熱の3つが挙げられ、太陽集熱器は太陽の光エネルギーを熱エネルギーに変えて利用しますし、間伐材・廃材から作ったペレット燃料やバイオマス発電の排熱は暖房などに利用され、地熱発電で使った高温の蒸気や熱水は、農業用ハウスや魚の養殖などに再利用されています。

さて、これらの再生化のエネルギーの普及にともない、必要となってくるのが、蓄電池とスマートグリッドの2つの産業で、今後さらなる成長が期待されています。

というのも、再生エネルギーのうち、太陽光発電風力発電は天候の影響を大きく受けるので、安定した出力を得ることができませんから、そこで出力を平準化するために、電力を貯蔵する機能を持つ蓄電池が必要となり、蓄電池を使うことで、発電した電気をためておき、必要な時に使えるようになるというわけです。

再生エネルギーの特徴

自然界が持っているエネルギーを電気や熱として取り出し、生活や産業に利用されている再生可能エネルギーには、3つのメリットがあって、まずひとつめは、石油などとは異なり、資源が枯渇することがないこと。

石油や石灰などの化石燃料は地下に埋蔵されている量は限られていますし、掘り出すごとに減少していくのですが、太陽光や風力などの自然のエネルギーは枯渇することがありませんし、何度でも繰り返し利用することができます。

クリーンエネルギー
クリーンエネルギー

2つめ、再生可能エネルギーというのは各国ごとの資源になるともいえ、日本の場合、石油などは中東諸国からの輸入に依存しており、仮に戦争や国同士の関係が悪化してしまった場合は、石油の供給がストップしてしまう可能性があります。

しかし、再生可能エネルギーであれば、国内の事情だけで確保できますし、他国との関係によってストップしてしまうというようなことが起こりません。

3つ目は、環境への負担が少ないことで、現在は地球環境が悪化してきており、巨大な台風や集中豪雨など世界各国で極端な気象が頻繁に起こっています。

この原因というのが地球温暖化であり、地球温暖化は人間の活動によって排出された二酸化炭素などの温室効果ガスが地球の平均温度を上昇させています。

化石燃料を燃やす火力発電では大量の二酸化炭素が排出されるのですが、これが太陽光や水力となると二酸化炭素は一切排出されませんので、地球にとってクリーンなエネルギーを確保することができます。